ネット社会の怖さ(うつ病に対して無知であるのに知っている気になる怖さ)

出張先のホテルの喫茶店でご飯を食べていると、
会社の上司と部下らしい人、二人が隣に座って、新入社員のA君について、話しを始めた。
聞いてはいけないと思ったけれど、部下の方の声が大きくて聞こえてきてしまう。
僕は精神科の医者ではないけれど、
最低限、うつ病(抑うつではなくて)に関する知識は持っている。
話しを聞いていると、A君はうつ病の疑いが強いと感じた。それを二人は、気づかないでいる様子だった。
僕は、口をはさんでいいものかどうか、すごく迷った。
頭の中で、
・口を挟むメリットとデメリット
・口をはさまない、メリットとデメリット
のマインドマップを描いた。
その結果、余計なおせっかいだとは思ったけれど、
お二人に口をはさんだ。
僕:「すいません。聞いてしまいました。A君は、うつ病じゃないですか?。あまりにも典型的な症状がそろい過ぎています」
すると、部下と思われる男性が、
「いえ、違います。新入社員ですから、悩んでいるだけです。」
僕:「うつ病ではないんですね。ならよかったです。余計な口を挟んですいませんでした。病院に行って、診察してもらったんですよね」
「いいえ。」
そこで僕は、これ以上口を挟んでも、何も変わらないと思って、
「すいません。余計なことをしました」と告げて、
席を立った。
プロの精神科であっても、”うつ病ではない”と診断することは難しい。
世間一般では、うつ病とは、自殺しようとした経験があるとか、
「頑張れ」と誉めてはいけないとか、その程度の知識しか持っていないにも関わらず、ネットなどで情報を集めて、うつ病について、
知っているかのような錯覚に陥っているひとが多い。
ここ最近、その辺りのちょっとやる気がなさそうなにーちゃん的なうつ病が増えてきているという事実を知っているはずもない。
ネット社会の怖さや、知っていると思い込むことの怖さを知った。
ある統計では、うつ病で仕事を休む社員が出ると、数千万円の赤字と同等のマイナスになることがある。
うつ病に関する誤った認識をしていることに気づいてもらい、正しい知識を得た上で対応してもらうこと。
自分がメンタルヘルスに関わるなんて思ってもみなかったけれど、最近は、自分に与えられた仕事のように感じ始めている。
うつ病とは 厚生労働省みんなのメンタルヘルスはこちら
杉浦
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